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顧問(アドバイザリー)契約についてのインタビュー

初のインタビュー記事です。 

Big Beansの事業の一つである顧問(アドバイザリー契約)を利用されている事業所の方にお話をお伺いしました。


話し手:濱口さん

就労継続支援B型事業所 桜梅桃李(おうばいとうり)サービス管理責任者、精神保健福祉士

聞き手&書き手:山崎勢津子

対人援助職のための相談所Big Beans代表,作業療法士

 (2023年5月30日収録)

 


まずは非常勤スタッフとして

山崎:導入のきっかけというか、経緯からお話していただけますか?

濱口さん:初めはちょうど一年くらい前ですね。元・上司の紹介で上田さん(Big Beansスタッフ,精神保健福祉士)に桜梅桃李に週に1日の非常勤スタッフとして来てもらうことになったんです。

 

山崎:紹介された時はどう感じられましたか?

濱口さん:いやぁ、もう(精神保健福祉士の)大先輩が来てくれるってなって「どうしたらええんやろう」という感じでした()。でも、その元・上司が「絶対、来てもらったらエエよ」と言うんで。

 

山崎:始まりは顧問(アドバイザリー契約)ではなくて、非常勤スタッフとして、だったんですね。

濱口さん:はい。そこから半年くらいして、Big Beansさんが顧問としてのサポート事業を始めたということになって「じゃあ、顧問として来てもらおうか」ということになって、非常勤から顧問へと契約を切り替えたんです。

 

山崎:“顧問”と聞いて、どんなイメージでしたか?

濱口さん:そうですね、「顧問(アドバイザー)として契約するのであれば、1人の非常勤スタッフとしてではなく、うちの事業所の足りないところのサポートをお願いしようか」みたいな、そんなイメージでしたね。

 

すでに非常勤スタッフとして、半年間ほど現場に入って見てもらっていたので、僕も他のスタッフも上田さんのことを知っていたし。いま思えば顧問(アドバイザー)としてお願いするにあたっての“助走期間”のような感じになって、良かったと思います。

顧問(アドバイザーとしてのかかわり)

山崎:事業所に足りないところ…とおっしゃいましたが、たとえば、どういうところですか?

濱口さん:そうですね。現場に入ってスタッフとメンバーのかかわりを現場教育的な意味合いで見てもらうとか、休みのスタッフがいたらフォローに入ってもらうとか。

 

山崎:現場でのスタッフ教育はそれまでどんな感じだったんですか?

濱口さん:創立当初から同じスタッフ構成が続いていて、利用者も少なかったので、研修という形を取らなくても、ふだんの情報共有とか話し合いで何とかなっていたんですけど、利用者が増えてくると、「基本的な疾患の理解」とか「就Bとは何か?」といったことの共通理解の必要性が高まって来て。それで上田さんにスタッフ研修をお願いして、何度か開催しました。外部の人が講師となると、良い意味で勉強会にも緊張感があるように思います。

 

山崎:他にはどんなことを?

濱口さん:僕は事業所の管理責任者なので、やっぱり監査対策なんかが気になるんですね。もともと僕は就労支援事業所の勤務経験がなくて。なので、書類にしても「これで合ってんのかな」とか「足りていないものはないかな」など不安になることもしばしばあって。そういう時、上田さんからアドバイスをもらったり、「それでええよ」と言われたりすると安心しますね。上田さんは就労継続支援B型事業にも関わっておられたんで。

あとは僕の日頃の悩み、とかですね()。いろいろと話を聞いてもらうんですけど、今まで自分にはそういう人(相手)っていなかったなぁって。上田さんは僕と同じ精神保健福祉士なので、話をしていると自分の役割とか、精神保健福祉士って何?みたいなことをあらためて考えるというか。倫理観とか価値観とか。「ああ、こういうのをスーパーバイズっていうんかな」と実感したりして。

管理者って、他の事業所でもそうだと思うんですけど、「管理」と「支援」のはざまで揺れるというか、バランスというか難しい部分があるんですよね。正解はないと思うんですけど、やっぱり事業所として大事にしたい柱みたいな部分がブレないようにしたいですからね。そういうことを話できるのって、ありがたいですね。

 

 

山崎:管理者としての不安みたいなことは、他のスタッフとシェアできることもあるけど、言えないこともありますもんね。

導入してみての感想

山崎:顧問(アドバイザー)を導入して何か変化を感じることはありますか?

濱口さん:そうですね、スタッフの意識が変わったような気がします。僕以外のスタッフは生活支援員1名、職業指導員1名がいるんですけど、外部の研修に出かける機会がなくて。でも、上田さんのところで主催されているBig Beans勉強会にうちのスタッフも参加させてもらうようになって。他の事業所のスタッフとの交流も良い刺激になっていると思います。

 

山崎:ありがとうございます。ここまでは何だか良いことばかり言っていただいて、面映ゆい気持ちになりますが、導入してみて何か良くなかった点といいますか、お気づきになられたことはありますか?

濱口さん:良くなかった点というのは、僕も考えてみたし、他のスタッフにも聞いてみたんですけど。良くない点という表現にあてはまるかどうかは分からないですけど、外部からアドバイザーを導入するのって、良くも悪くも「見られている感」がスタッフに生じますよね、どうしても。それが現場のスタッフに緊張感をもたらすというか。利用者の方々は上田さんがどういう契約で、どういう立場で来ているかを知らないので、あれですけど。

 

山崎:どんな時に「見られている感」があったりしますか?

濱口さん:たとえば、上田さんと「あの時、(その声かけに)どんな意図があったのか」みたいな話になることが時々あって、それはまあ、スタッフからすると利用者に向けた何気ないひと言について、だったりするんです。そういう時に上田さんからあらためて問いかけられると、スタッフの方は「意図?と言われても…」みたいな感じになりますよね(笑)。もちろん、それは考える良いきっかけになると思うんですけど。

山崎:たしかにそうですね。

濱口さん:外部のアドバイザーを導入しようと考える事業所は、きっと向上心がある事業所だと思うんですよね。でも、事業所によっては一丸となっていないというか、スタッフ全員、向上心があるわけではないって所もあると思うんです。そうなると、この「見られている感」が良い刺激になるスタッフと、逆に負担に思うスタッフが混在するというようなことが生じるかもしれませんね。

山崎:管理者が現場をどうにかしたいという一心で、外部のアドバイザーを導入すると、他のスタッフと温度差が生まれるリスクがあるって感じですね。たしかにそういうことには配慮が必要だなとお話を聞いて思いました。

 

これからのこと

山崎:今後、顧問(アドバイザー)に、こんなこともお願いできたら…と思うことはありますか?

濱口さん:そうですね。いま新しいスタッフを採用したいと考えていて。精神保健福祉士か社会福祉士を募集しているんですけど、もし新しいスタッフが決まったら、そのスタッフの育成もお願いしたいと考えています。

 

後は法改正なんかも順次あるので、どのように対応していけばいいのかなども一緒に考えてもらえたら、と思います。そういうのって、自分では対応できていると思っていても、そう思うからこそ自分では足りないところが見えないので、外部の目が必要だと感じているんです。

みなさんへのメッセージ

山崎:最後に濱口さんからメッセージをもらえませんか?顧問(アドバイザリー)の導入を考えておられる管理者の方に向けて、ひと言お願いします。

濱口さん:ひと言ですか…うーん、難しいなぁ。ちょっと待ってくださいね。そうやなぁ。うん。

「悩むぐらいなら、分かち合おう」ですね。分かち合える、分かってもらえる、そういうのって大事やなと思うんで。

山崎:ありがとうございます!

 

濱口さん:僕も今日はいろいろとお話できて良かったです。

山崎:ありがとうございました。